角膜がラグビーボール状に?「乱視」になる原因とは

本日は、「乱視」についてのご紹介記事です。

角膜がラグビーボール状に?「乱視」になる原因とは

角膜や水晶体の「歪み」により、焦点が一点に合わない

1兆分の1秒という超高速のレーザー照射で組織を切断するフェムトセカンドレーザー。
安全性の高い手術を短時間で行えるだけでなく、乱視の矯正にも高い性能を発揮しています。

◆乱視の原因は角膜や水晶体の歪み

近視や遠視と並んで、裸眼視力を低下させる屈折異常のひとつに、乱視があります。そもそも、乱視とはどのような症状なのでしょうか。

カメラにたとえると、目に入る光を調節するための角膜や水晶体はレンズ、光を像として映し出す網膜はフィルムとなります。角膜や水晶体に歪みがなく、きれいな球面になっていると、角膜と水晶体で光を正しく屈折することができ、網膜までの距離が合って焦点(ピント)を結んで「正視」の状態になります。

ところが、乱視の人は角膜や水晶体に歪みがある(=屈折異常がある)ために、焦点を一点に合わせることができません。歪みによって光が分散されるため、網膜にはっきりとした像を結ぶことができずに、ぼやけて見えるようになるのです。

乱視は、ラグビーボールのように、規則的に一定の方向へ角膜の歪みが生じる正乱視と、角膜の一部が突き出ていたり、表面が不規則に凸凹していたりするために生じる不正乱視の2種類にわけられます。

正乱視はさらに、角膜が歪んでいる方向で直乱視、倒乱視、斜乱視の3種類に分類され、それぞれ見え方が異なります。

●直乱視・・・角膜が上下方向につぶれるように歪んでいる。
●倒乱視・・・角膜が横方向につぶれるように歪んでいる。
●斜乱視・・・角膜が斜め方向につぶれるように歪んでいる。

また、角膜ではなく水晶体が原因で乱視が起こる場合があります。これは、白内障により水晶体が濁り、その濁りに光が乱反射して焦点が合わなくなってしまうことによるものです。そのため、白内障になった水晶体が原因の乱視は、何重にもダブって見える不正乱視になります。

水晶体が原因の乱視は、白内障手術での矯正が可能

◆白内障の手術では同時に乱視矯正ができます

乱視の矯正はメガネやコンタクトレンズで行いますが、実は白内障手術によっても矯正することができます。白内障手術は、水晶体の中身を人工の眼内レンズに入れ替える手術です。そのため、水晶体が原因の乱視は、白内障の治療と同時に治すことができます。

また、角膜乱視も正乱視であれば眼内レンズに乱視矯正用のレンズ(トーリック眼内レンズ)がありますので、メガネやコンタクトレンズを装用した場合と同じように乱視を矯正することができます。

◆レーザー白内障手術ならさらに精度が高い乱視矯正が可能に

フェムトセカンドレーザーを白内障手術に用いるなら、より高い精度で乱視矯正を行うことができます。

白内障手術で乱視矯正を行う場合、トーリック眼内レンズを正しい角度に入れなければなりません。フェムトセカンドレーザーを用いた手術機器「LenSx(レンズエックス)」や、白内障手術のガイダンスシステム「VERION(べリオン)」、「ORA(オラ)」といった機器を使用していると、手術中に正しい軸を計算して教えてくれるので、非常に精度の高い眼内レンズの挿入を行うことができるのです。
また、角膜を削ることで歪みを矯正することができるのも、フェムトセカンドレーザーの強みです。

地図で山の形状を表すのに使われる等高線を、みなさんもご存じでしょう。正視の角膜を等高線で表すと、上下左右の間隔が均一の同心円状になる等高線ですが、乱視の角膜はどこかに歪みのある等高線になります。
歪みのある部分にフェムトセカンドレーザーで傷をつけることによって、なだらかで均一な等高線に近づける(=乱視の角膜を正視の状態に近づける)ことができるのです。

ただしこの施術を行うには、本人の乱視がどういう状態なのか、正確に測定しておくことが必要になります。そのためには白内障の手術を受ける施設に、乱視の種類を詳しく特定できる検査機器が備え付けられていることが前提になってきます。

とはいえ、乱視の検査設備のある施設はさほど多くありません。そのなかで、乱視を矯正できる技術を持った施設となると、数が限られてしまっているのが現状です。

佐藤 香
アイケアクリニック院長
医療法人トータルアイケア理事
アイケアクリニック銀座院副院長 医師

引用:角膜がラグビーボール状に?「乱視」になる原因とは
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