光に飲み込まれ「夕方の運転が怖い」…白内障の自覚症状とは?

光に飲み込まれ「夕方の運転が怖い」…白内障の自覚症状とは?

日常生活にも支障をきたす自覚症状とは?

白内障は視力が落ちるだけではなく、視力が落ちる以前から起こりうる次のような自覚症状があります。

①光がまぶしい
②暗いときと明るいときで見え方がちがう
③ものが何重にも見える
④視界がかすむ

このうち①の光がまぶしいは、水晶体のにごった部分に光があたって乱反射するためです。②と③も同様です。③は、水晶体乱視とよばれ、角膜が原因の角膜乱視とは区別されます。にごりの強い部位と弱い部位が生じると回折現象が生じて発生するとされています。角膜乱視はメガネやコンタクトレンズで矯正できますが、水晶体乱視は白内障手術でしか治すことができません。

④の視界がかすむ症状は、水晶体がにごってくることによって、光が曇りガラスを通して網膜にとどくような状態になっていることからおこります。

実際に患者さんと接していると、自覚症状としては①と②の症状が多いような気がします。とくに車を頻繁に運転される方は「夕方の運転が怖い」とよくおっしゃいます。ヘッドライトや街灯などが大きな光の輪(ハレーション)になって、周囲の車や人がそのハレーションに飲み込まれてしまって見えないというのです。

こうした自覚症状が進んでくると、しだいに日常生活にも支障をきたしてきます。そこで私は患者さんに、次のどれかのタイミングで白内障手術を受けることをお勧めしています。

1.視力低下、かすみ、まぶしさなどの症状で生活に支障を感じた場合
2.特に、まぶしさで車の運転に支障を感じている場合
3.矯正視力が0.7以下になり運転免許の更新ができなくなった場合
4.安全性や正確性が必要な仕事に支障が出てきた場合
5.急性緑内障発作を起こしたか、起こす可能性が高いと判断できる場合
6.眼底の病気があるが眼底の診察が十分できないほど白内障が進行した場合
7.白内障がすすみ視野検査など緑内障の病状管理に支障がある場合

 

糖尿病、アトピー、ステロイド使用も原因になるが…

よく患者さんから「白内障の原因はなんですか?」とたずねられます。そんなときは多くは加齢が原因ですとこたえるのですが、これでは答えになっていませんね。加齢により、シミ皺白髪が増えるように水晶体のにごりも増えると言っているに過ぎません。なぜ水晶体がにごるのかは実のところよくわかっていないことが多いのです。

水晶体はクリスタリンという蛋白が整然と規則正しく配列することで光を良く通す、すなわち透明であることを実現しています。クリスタリン蛋白が変性して規則正しい配列を保てなくなると光が通りにくくなる、すなわちにごるのです。

クリスタリン蛋白を変性させる原因はさまざまですが、目の外傷で水晶体が傷つく外傷性白内障などは理解しやすいのに対して、加齢性白内障の場合はわかりにくいですね。ヒントは、水晶体が網膜に有害な紫外線を吸収して網膜を守っている事実です。紫外線はタンパク質を変性させる働きがあります。

白内障は糖尿病やアトピーやステロイド使用などさまざまな身近な原因でも起こりやすくなると言われています。痔の薬にもステロイドが含まれているものが多いですから、知らず知らず白内障になりやすい状況があるのかもしれません。さまざまな要因がクリスタリン蛋白を変性させ、加齢とともに蓄積、にごりを増していく状態を総称して加齢性白内障と言っていいでしょう。

ところで白内障は原因によりつぎの4つに分類されています。

①加齢性白内障 ②先天性白内障 ③併発性白内障 ④外傷性白内障。

多くは上記の加齢性白内障ですが、原因がはっきりしている白内障が②~④です。

②の先天性白内障は、母親が妊娠中に風疹に罹ったり、遺伝的な要因によっておこるものです。生まれつき水晶体がにごっているケースと、成長に伴って発症するケースがあります。人間の視力は幼児期に形成されますから早期の発見と治療が重要です。

 

進行が早い「糖尿病性白内障」は注意が必要

このほか白内障には、病気や薬の副作用、怪我などが原因で発症する③併発性白内障や④外傷性白内障があります。

③の併発性白内障は、ほかの病気に罹った結果発症するものです。緑内障、網膜剝離など目の病気と併発することもありますし、アトピー性皮膚炎や糖尿病など目以外の病気と併発する場合もあります。

とくにアトピー性皮膚炎の場合は約30%の人がアトピー性白内障に罹っているというデータもあるようです。アトピー性白内障は、治療に使うステロイド薬剤の副作用ではないかといわれていましたが、最近では、まぶたをさする・たたくなど痒みに伴う水晶体への刺激が原因ではないかと考えられています。

糖尿病性白内障は、水晶体の中で高濃度になったぶどう糖がソルビドールという物質の生成を促し、そのソルビドールが水晶体をにごらせると考えられています。糖尿病性白内障は若い人でも発症し、進行が早いので注意が必要です。

④の外傷性白内障は、格闘技や球技などのスポーツや事故、喧嘩などで目に強い衝撃を受けた場合におこるものです。気をつけたいのは、外傷性白内障はすぐに症状がでないことがあるという点です。何年も経って本人も忘れたころに白内障の症状が現れることもあります。外傷性白内障は当然、年齢に関係なくおきますから注意が必要です。

アトピー性皮膚炎や眼外傷に伴う白内障は、ときに網膜剝離が併発して白内障のために見つかりにくいことがありますので要注意です。

 

世界的に見れば、白内障は「失明原因」の第1位である

健康保険でカバーされるようになり水晶体を眼内レンズに置き換える白内障手術が急速に普及したこともあって、日本では白内障で失明する人はほとんどいなくなりました。さらに多焦点眼内レンズの登場で、白内障手術は「あたらしい人生を選び取るチャンス」と考えられるようになり、積極的に白内障手術を受ける人は、ますます増えていく勢いです。

しかし、これは国民皆保険といわれる日本の医療が生み出したある意味、特殊な状況下でのことで、世界的にみると白内障は現在でも失明原因の第1位を占めています。世界中で失明した人のほぼ半分は白内障によるものでした。第2位の緑内障とくらべても倍以上の数です。

発展途上国では医療格差が大きく、白内障を放置せざるをえない状況が改善されていないことからきています。簡単な手術を受ける機会に恵まれない多くの人びとが、白内障かどうかも知らずに失明にいたってしまうのです。もちろん日本でも白内障を放置したため白内障手術のリスクが高くなったり、ほかの目の病気を併発したりして失明するひとが約3%ほどいます。放置すると失明の原因になる白内障は、安全にできるうちになるべく早く手術を受けることをお勧めします。

 

 

 

引用: https://gentosha-go.com/articles/-/24170?per_page=1

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確かに白内障は比較的簡単な手術とされていますが、世界に目を向けると目の検査もまともに受けることが出来ない人々がいるのが現状です。少しでも早く医療格差がなくなることを願うばかりです。

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