「失明ゼロ」目指す
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「失明ゼロ」目指す iPS角膜移植
人工多能性幹細胞(iPS細胞)から目の角膜の細胞を作り、角膜が濁る病気の患者に移植する西田幸二大阪大教授らの臨床研究について、 厚生労働省の部会で5日、計画の実施が了承された。iPS細胞を利用して目の病気を治療する再生医療の臨床研究は、平成26年に網膜細胞を移植した理化学研究所に続き、 今回の大阪大チームが2例目だ。将来は眼を構成するさまざまな組織を作製する構想を描いており、角膜の移植はその第一歩となる。
大阪大チームは28年、人のiPS細胞を培養する際に特定のタンパク質を加えることで、眼球全体のもとになる特殊な構造を作ることに成功した。
角膜の内側にあるレンズの水晶体、光を感じる網膜、脳に情報を伝える神経などを構成する主要な組織の細胞は、この構造の特定の場所からそれぞれ生まれる。 今回の臨床研究では、まずこの構造をiPS細胞から作り、角膜になる部分を切り出して使う。
目の病気はさまざまな場所で起きるが、この特殊な構造の作製成功は、目のあらゆる組織に再生医療を適応する道を開いた。 将来は組織単位ではなく、眼球全体を作製し移植することが可能になるかもしれない。
西田教授は「目のどこが病気になっても、iPS細胞による再生医療で視力を回復できるような『失明ゼロ』の世界の実現が理想だ」と話す。
今回の対象となる角膜上皮幹細胞疲弊症は、外傷や病気による炎症で角膜が濁って視力が落ちたり、失明したりする。国内に1千人以上とみられる患者にとっては光明となりそうだ。
チームはウサギを使った実験で視力の回復に成功しているが、人での効果は未知数だ。iPS細胞から作った細胞には、がん化の懸念もある。 まずは安全性の確認が最大の課題で、次のステップにつなげる必須条件になる。(伊藤壽一郎)
引用:「失明ゼロ」目指す iPS角膜移植
産経新聞 THE SANKEI NEWS
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