近視は成人後も進行し、新規発症もある
本日は、近視発症率と進行について記事をご紹介いたします。
近視は成人後も進行し、新規発症もある
豪州のバースコホート研究で20~28歳の近視発症率と進行を追跡
豪州Western Australia大学のSamantha Sze-Yee Lee氏らは、20歳の成人を8年間追跡して近視の新規発症率や進行具合を調査するコホート研究を行い、20歳代での新規発症率は14%で、近視の進行が観察された割合は37.8%だったと報告した。結果は2022年1月6日のJAMA Ophthalmology誌電子版に掲載された。
近視は小児期に最も発症しやすく、進行が速いのも小児期なのが典型的だ。従来は年齢が15~16歳になる頃には状態が安定すると考えられていた。ところが、近年の研究では大学生の近視の有病率増加が観察されたことが報告されている。近年の職業の変化により、屋外での作業が減って屋内での仕事が増えたことから、卒業して社会人になっても近視が増加しやすい環境になったことが考えられる。しかし、教育期間を終了した若い成人の近視発症率や症状進行について調べた研究は少なかった。
そこで著者らは、豪州の若い成人を8年間追跡して近視の発症率と眼軸長の変化を調べ、それらと小児期の近視の危険因子(高学歴、屋外で過ごす時間が短い、親が近視など)の関係を検討するコホート研究を計画した。
この研究ではthe Raine Studyのコホートを利用することにした。Raine Studyは1989~1991年に豪州のパースにあるKing Edward Memorial Hospitalと関連施設から2900人の妊婦を募集してバースコホートを作成した研究だ。この時に生まれた2868人の健康状態を長期にわたり定期的に評価しているほか、母親の健康状態や祖父母の病歴などと子の世代の疾患の関連を調べられるように情報を集めている。
今回はRaine Studyで生まれた子が20歳の時点(幅は18~22歳まで)で、眼の診察と評価を行い、28歳になった時に再度診察を受けて、近視の状態を調べることにした。20歳の診察は2010年1月~2012年8月に実施しており、28歳の診察は2018年3月~2020年3月に行った。
主な検査内容は、視力の測定に加え、結膜紫外線自己蛍光(CUVAF)面積、光学式バイオメトリー装置やオートレフケラトメーターを用いた角膜の曲率や水晶体の厚さ、などだ。主要評価項目は、近視と強度近視の発症、および等価球面度数(SE)と眼軸長の変化に設定した。近視は、SEが-0.50D以下、強度近視は-6.00D以下とした。屈折異常の進行は、SEの0.50D以上の変化とした。質問票を用いて、学歴、両親の近視の有無、人種、眼疾患歴などの情報も収集した。…
‐‐‐後略‐‐‐
日経メディカル
今まで、近視は小児期に発症し進行するものと考えられてきました。ところが、最近の研究では成人した後でも近視の有病率の増加が認められているとのことです。
やはり環境的要因が大きな影響を与えていそうです。
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