生活習慣病の受診頻度と眼科の必要性検討

健保連幸野氏「中断予防にオンライン診療」
2019年11月23日 水谷悠(m3.com編集部)

 

中医協総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月22日、「外来その2」として生活習慣病を議題とした。重症化予防のための定期的な受診や治療中断の防止、眼科受診の必要性などによる要件見直しを検討し、診療側からは受診間隔が長くなり長期処方が増えることで残薬が増加することの懸念、支払側からは治療中断防止のためのオンライン診療活用などの意見が出た(資料は、厚生労働省のホームページ)。

厚労省が示した論点は次の通り。

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  • 生活習慣病管理料について、生活習慣病の重症化予防の推進する観点から、糖尿病の患者の定期的な眼科受診の必要性や患者の受診頻度、患者が受診を中断する理由を踏まえ、算定要件の見直しを検討してはどうか。
  • 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料は妊娠中の患者に限定されているが、妊娠中の糖代謝異常は、分娩後の将来的な糖代謝異常にも影響を与えることや、妊娠期からの継続支援の観点から、産褥期(分娩後12週間以内)の者についても、算定できるよう見直すこととしてはどうか

 

日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、定期的な眼科受診は「大変に重要」として賛同。一方、患者の受診頻度等については、「受診を月1回促すことなども考えられるかもしれないが、そうすることで長期処方が増え残薬が増えるなどの弊害が懸念されるので、慎重に検討するべきだ」と述べた。在宅妊娠糖尿病患者指導管理料の論点については了承した。

全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、糖尿病の非認定教育施設では約4割の患者しか眼科を受診しておらず、認定教育施設においても約6割しか眼科を受診していないと資料を引き合いに出し、「糖尿病を主病として生活習慣病管理料を算定するのであれば、診断確定時の眼科受診、定期的な受診の管理は要件に入れてもいいのかなと思う」と述べた。受診中断の理由の一つに経済的な理由があり、論点として厚労省が出したことについては、厚労省保険局医療課長の森光敬子氏が「生活習慣病は長く通わないといけない。そうした場合に患者の負担として診療側としては配慮しなければいけない場合がある」と答弁すると、「診療サイドで個人のそういう状況を把握して説明することが実務的に可能か。分からないではないが、なじまないのでは」と述べた。

健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「保険者として一番怖いのは重症化。これを予防するのが大事だ」と指摘。中断理由で最も多いのが「仕事のため忙しい」のため、「仕事のために中断させない方法、その一つがオンラインだ。医療費が経済的に負担だというのは、薬剤の費用の節減を管理料の要件に設定するべきだ」と述べた。

 

 

引用: https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/712566/

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