新型コロナの「受診控え」リスク
本日は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって医療機関の受診を控えることで抱えるリスクについて書かれた記事をご紹介いたします。
がん発見遅れ死亡、生活習慣病悪化…新型コロナの「受診控え」リスク
新型コロナウイルスへの感染を懸念した医療機関への「受診控え」で、他の疾病を悪化させるケースが出ている。がん検診を控えた結果、肺がんの発見が遅れて死亡するケースが確認されているほか、生活習慣病の悪化を憂慮する声も。専門家は「受診による感染リスクより、受診を控えて病状が悪化するリスクの方が高い」として注意を呼び掛けている。
(荒船清太)
9月上旬、東京都内の総合病院に勤務する呼吸器科系の男性医師は、初診の50代男性の肺のエックス線写真を見て言葉を失った。肺がんが他の部位に転移し、手の施しようのない末期状態だった。
男性は昨年まで毎年4月にがん検診を受けていたが、今年は新型コロナの影響で検診が休止となった。6月に検診が再開された後も受診していなかったが、視力に異常が生じたことをきっかけに来院。その時点で手術も化学療法もできる段階になく、男性は9月下旬に亡くなった。
「仮に6月に検診を受けてがんを見つけていれば化学療法などもできて、命が助かったかもしれない」。男性医師は悔しさをにじませた。
日本対がん協会が実施したアンケートによると、今年のがん検診の受診者数はコロナ禍で激減。緊急事態宣言下の4、5月は同協会の大半の支部が検診を中止していたが、検診が再開され始めた6月も受診者数は前年同月比で3割強。7月も6割程度にすぎない。
新型コロナによる国内の死者はこれまでに約1600人。対して、肺がんによる死者は毎月数千人に及んでいる。同協会の担当者は「来年以降のがんの発見が増えるとともに、がんの中でも進行がんの割合が増えることが懸念される」と警告する。
受診控えが生じているのは、がん検診だけではない。日本生活習慣病予防協会が全国338人の医師を対象に行ったアンケートでは、半数以上の191人が生活習慣病に関する受診控えについて「増えている」「とても増えている」と回答。うち186人は、痛風などの発症が増加すると考えていることが分かった。
同協会理事長の宮崎滋医師は「医療機関の感染症対策は整ってきており、外来患者の感染リスクはかなり低い」と指摘。マスクや手洗いを徹底すれば、感染リスクも低いといい、「受診によって新型コロナに感染するリスクよりも、受診控えで健康が悪化するリスクの方が高い。体調に異変が生じたり、薬が切れたりしたら、すぐ受診してほしい」と訴えている。
■子供の予防接種控えも はしかとコロナの二重流行懸念
新型コロナウイルス感染拡大による「受診控え」は、子供の間でも起きている。新型コロナに初期症状が似ているはしかなど、乳幼児期に打つべき予防接種を控える傾向も出ており、本来であればワクチンで防げる新型コロナ以外の感染症の流行も懸念される。
日本小児科学会が3月、川崎市内のワクチンの接種状況を昨年同時期と比べたところ、はしかと風疹を予防するMRワクチンは、1回目の接種は微減にとどまったが、小学校入学前に打つ2回目の接種は昨年から47・2%減とほぼ半減していた。
予防接種を控える動きは年齢が上がるほど顕著になっており、日本脳炎だと3歳で打つ1期の接種は昨年から34・9%減。9~12歳で打つ2期の接種は65・2%の大幅減となった。
公衆衛生と小児科が専門の高橋謙造・帝京大大学院教授によると、はしかの初期症状は発熱で、新型コロナと似ているが、感染力は10倍ほど。「新型コロナに加え、はしかが流行すれば医療機関には二重の重荷になってしまう。子供は新型コロナの重症化リスクも小さく、予防接種を控えるのは非常によくない」として接種を呼び掛けている。
引用:がん発見遅れ死亡、生活習慣病悪化…新型コロナの「受診控え」リスク
THE SANKEI NEWS
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されていますが、がんなどの重要な疾患については早期発見が非常に大切かと思いますので、必ず医療機関を受診しましょう。
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