子どものアイケアと目に優しい環境づくり
本日は、近視と環境の関係性について記事をご紹介いたします。
ママ眼科医に聞く、子どものアイケアと目に優しい環境づくり
withコロナ/afterコロナの時代、ますますデジタルデバイスとの付き合いは深まるばかりだ。子どもの目にとってどのようなリスクがあり、またそれを回避するためにどういったことに気を付ければ良いのだろうか。ママ眼科医の阿久津望美先生に聞いた。
GIGAスクール構想がコロナ禍で前倒しされ、「児童生徒に1人1台端末」の実現も現実味を帯びてきた。教育におけるICT活用が、21世紀を生きる子どもたちに求められている情報活用能力を育むために必要であることは言うまでもないだろう。
とは言え、成長期の子どもたちが長時間デジタルデバイスと向き合う状況に、健康面で懸念する保護者が多いこともうなずける。日常のあらゆるシーンでパソコンやタブレット、スマホの使用時間が増え、第一に不安になるのが目への負担だ。実際に、子どもの目にとってどのようなリスクがあり、またそれを回避するためにどういったことに気を付ければいいのだろうか。ご自身も3人のお子さまをもつママである眼科専門医の阿久津望美先生に、同医院に勤務する視能訓練士も同席のうえ、話を聞いた。
「目が疲れた」と感じるのは大人だけ…保護者のケアが大切
–まずは子どもの目と大人の目の違いについて教えてください。
まず構造上の違いについてお話ししますね。私たちはものを見るとき、目の中の「水晶体」と呼ばれるレンズの厚みを変えることでピント調節をしています。その水晶体の厚みを変えるのに使うのが、「毛様体筋」という筋肉です。この筋肉は年を経るごとに弱くなります。さらに40歳を過ぎると水晶体がだんだん硬くなり、60歳以上になるとピントの調節がほとんどできなくなります。これがいわゆる「老眼」です。
一方、子どもはこの調節機能が非常に優れており、対象物の遠近に即座に対応することができます。つまり、モニターが近すぎても簡単にピント調節できてしまうのです。
–なるほど。子どもの順応性は、目の構造にも言えるのですね。
そうなのです。しかも子どもは筋肉疲労になっていることに自分では気付きにくいのです。それゆえ、近距離での視聴も長時間続けてしまいがちです。「子どもは大人よりも眼の疲れを訴えにくい」ということを念頭に、近付きすぎだな、長時間見すぎているなと思ったら保護者が注意して、声をかけてあげる必要があります。
また同時に、至近距離で視聴させない、目の疲れにくい環境を作ってあげることも必要ですね。パソコンの周辺環境で言えば、タブレットやノートPCの小さな画面ではなく、外付けモニターを使用して、子どもの姿勢にあった高さに設置してあげるなどの工夫があると良いと思います。
–外付けモニターの設置をはじめ、子どもの目にとって適切なPC周辺環境を整えることは、大人の目の健康にもつながりますね。コロナ禍で患者さんの目の症状に変化はありましたか。
眼科などで視力を測定するとき、気球の絵を覗き込む機械がありますよね。あれは目の屈折度数(遠視、近視、乱視の度数)を調べる装置なんですが、子どもたちを測定すると、本当は近視ではないのに近視のような結果が出てしまうことがあります。
実際このコロナ禍で「急に遠くが見えにくくなった」と当院を訪れるお子さまが何人かいらっしゃいました。しかし詳しく検査してみると、ほとんどが「見せかけの近視」でした。至近距離でピントが合う状態が続くことで、毛様体筋がその形に慣れてしまい、ふと遠くを見た際に「見えにくい」と感じてしまう現象です。
–屋内で過ごす時間が増え、近距離を見る機会が増えたことが原因なのでしょうか。
そう考えています。眼科では、そういった「見せかけの近視」と本来の近視を正確に診断するために、お子さまの視力測定の際にはあらかじめ毛様体筋を麻痺させる目薬を点眼します。したがって「見せかけの近視」の状態で、誤った度数でメガネの処方箋を出してしまうといったことはまずありません。ただこの目薬は眼科以外で使えません。近年では量販店などでの簡易的な視力測定で間違った度数のメガネをつくってしまう人が増えており、私たちはその点を懸念しています。
メガネは水晶体による調節を適切に機能させるものであり、正しい度数のものでなければ、毛様体筋が過度に緊張した状態になります。適切なメガネで矯正されない状態が続くと、頭痛や肩こりをはじめとした体の不調につながります。安くてすぐに検査できる魅力がある一方でリスクもあります。特にお子さまの場合はこういったリスクを考え、眼科での検査をお勧めします。
至近距離での操作が及ぼす、目への悪影響
–目がリラックスできるような姿勢の維持、ひいては環境づくりが大切になるのですね。目とモニターの適切な距離の目安はありますか。
我が家には「50の法則」というものがあって「50cm離れても見える大きさのモニターから、50cm以上離れて、50分見たら10分休む」をスローガンにしています。先ほどもお伝えしたように、子どもは気付かないうちに画面に近付いていることがありますから、覚えやすい数字にして、みんなで気を付けようね、と声をかけています。
ただし大人の場合は、人によって調節能力や水晶体の硬さ、ピントの調節が違いますから、時間を決めず疲れを感じたらすぐに休むようにしてください。
–手元で見るスマホの場合はどうでしょうか。
スマホの場合も読書距離と同じ30cmくらいが望ましいとされていますが、実際には20cmくらいで見ている人が多いようです。そうすると、目はピントを調節し続けることになり、それに加えて瞳が鼻側に寄った状態になってしまいます。これを「急性内斜視」と呼び、最近では「スマホ斜視」とも呼ばれています。タブレットやスマホなどの小さな画面のデバイスが普及して以降、急速に注目されはじめた症状です。
私たちは通常「両眼視」と言って、左目に映る像と右目に映る像を脳でひとつに統合しています。しかし最近になって当院では「急にひとつのものが二重に見えるようになった」と「複視」の症状を訴えて来院される小学生から中高生のお子さまが増えました。これも内斜視の症状のひとつです。左右の目で別のものを見ていると感じたり、ものが二重に見えたりしていたら、すぐに眼科を受診してください。
また子どもに多い症状として眼鏡をしても視力が出ない「弱視」というものがあります。視力が上がっていく8歳未満であれば適切な治療と訓練で、完治するケースもあります。しばらく放置してしまうと眼科にいらっしゃったときには治療できない、ということもあります。そのような事態にならないように、ぜひ早めに検査していただきたいです。
子どもにとって携帯性や操作性に優れたスマホやタブレット、ノートPCはもちろん便利ですが、その分内斜視や近視へのリスクも高まります。大きな画面のデスクトップPCや外付けモニターを使用することで一定の焦点距離が保つことができますので、それらの抑制効果が期待できます。
夜間のブルーライトは体内時計を狂わせる原因に
–モニターを長時間見続けることのリスクはどのようなものでしょうか。
モニターをじっと見ているとどうしてもまばたきが減ってしまい、目の表面が乾いて「ドライアイ」になりがちです。ドライアイの目薬はいろいろなタイプがありますから、一概に自分で決めつけず、眼科でご自分がどのタイプのドライアイかを診てもらって、症状に合った目薬を処方してもらってください。
モニターを見る時間の長さに加えて、画面の高さや照度などもドライアイに影響すると言われていますから、モニターを見るときの環境は重要ですね。一般に、暗い場所での利用はよくないと思います。暗いと瞳孔が過度に開き、ピントが調節しにくくなります。周囲が明るいほうが瞳孔がきゅっと縮んでくれるのでピントの調節がしやすくなります。
–ブルーライトについてはどうでしょうか。
私たちは紫外線に含まれるブルーライトで体内時計を整えています。日中に適度に浴びるのは良いのですが、夕方から夜にかけて本来目の中に入るはずのないブルーライトを浴びると、体内時計が狂ってしまいます。特に就寝前の使用は睡眠の質に影響しますので、避けたほうが良いです。子どもは水晶体が透明なので、大人よりもブルーライトが体内に入りやすい点にも注意してあげる必要があります。
とは言え、夕方帰宅後のオンライン学習や夜間の勉強が必要なときもありますよね。その場合はブルーライトカットのモニターを使うことをお勧めします。保護者がある程度制限したり、お子さまが自分で何時以降は使わないとルールを決めるのも良いと思います。
我が家でも、日中は子どもたちに「外へ出て太陽を浴びておいで」と声をかけたり、極力「サーカディアンリズム(概日リズム)」を整えるよう心掛けています。放っておくと昼夜逆転してしまう子どももいますし、リズムが崩れると肥満や糖尿病、うつ病になることも報告されています。
目は全身につながっている…放置せず幼少期からケアを
–子どもは自己管理が難しいですものね。症状も伝えづらいので、保護者としても注意が必要ですね。
繰り返しになりますが、学校の健診で異常が見つかったり、保護者の方が「おかしいな」と感じたら、必ず眼科で診てもらってください。強い近視の場合、学童期はメガネやコンタクトで済んでいても、将来、網膜剥離や緑内障などの疾病にもつながりかねません。「黄斑部」と言って、ものを見る眼底の大切なところで出血が起こってきたり、車の運転免許がとれないくらいの視力低下が起こったりすることもあります。近視と簡単に片付けるのではなく、進行すると怖い病気だということをぜひ知っていただきたいです。
–先生のお話を伺って、子どもの目の健康には保護者によるケアと環境づくりが大事だということがよくわかりました。
高齢になると、白内障を放っておくと認知症になりやすかったり、逆に白内障の手術をすると認知症予防になったりするということも言われています。目からの情報はとても大切ですし、目から入ってくるものが体全体に影響を与える場合もあります。先ほどのブルーライトの話はその重要な一例です。
コロナ禍で生活様式やお子さまの教育環境が変わるなど、何もかもが手探りの状態です。そんな中でも知らないうちに目の病気を悪化させないために、できる限り定期的に検査を受けていただきたいですね。
–本日はありがとうございました。
携帯性や利便性、デザインだけでデジタルデバイスを選ぶ時代は終わりを迎えたのかもしれない。新しい生活様式、教育環境では、人間とデジタルデバイスとの付き合いはますます深いものになるだろう。そのときに考慮すべきは、いかに「身体に優しいか」。使用時の姿勢、輝度、照度、ブルーライトなど、目の健康ひいては全身の健康のために検討すべき点は山ほどある。
子どもを含む家族で使用する際に忘れてはいけないのが、阿久津先生のお話しされた「子どもは自分自身では目の疲れを訴えにくい」という点だ。子ども自身が意識しなくても目の負担を軽減できる商品を選定し、適切に与える義務が保護者にはある。
BenQのアイケアモニターは、独自のアイケア技術で長時間使用による目の疲れを軽減する。特筆すべきは、下記の機能だろう。
●フリッカーフリー機能により画面のちらつきをカット
●4つのブルーライト軽減モード(マルチメディア、ウェブサーフィン、オフィス、閲覧)
●周囲光の感知による輝度の自動調整
●人間工学に基づいた高さ調節スタンド
●多様な色覚に対応したカラーユニバーサルモードまた、接続ポートはHDMI、DisplayPort、D-subの3種類があり、デスクトップやノートPCとも簡単に接続できる。画面サイズは24インチまたは27インチの2種類。どちらも適度な視聴距離を維持でき、広視野角なので、お子さまのオンライン学習をサポートする場面など、複数人が同時に同じ画面を視聴するのにも適している。
自宅で過ごすことの多くなった今、充実したおうち時間のため、そして家族の健康のために、アイケアモニターを検討してみてはどうだろうか。
引用:ママ眼科医に聞く、子どものアイケアと目に優しい環境づくり
ReseMom
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、新しい生活様式を強いられている昨今、子どもたちの視力に対する影響も大きくなっております。
たかが近視ですが、されど近視です。強度近視の場合、大人になってから網膜剥離や緑内障のリスクが高くなると言われていますので、子どものうちから近視の進行を抑制し、そのようなリスクを少しでも小さくすることは非常に重要です。ぜひオルソケラトロジーも選択肢のひとつに加えていただけると良いかと思います。
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