老化は薬で防げる? 科学者の模索続く
本日は、目の事は一旦休憩して、老化についての記事をご紹介しようと思います。
非常に興味深い内容なので、ぜひご覧ください!
老化は薬で防げる? 科学者の模索続く
2050年、あなたは70歳だとしよう。35歳の時と変わらず、トレーニングを終えても元気はみなぎっている。肌にはシワひとつない。眼鏡をどこに置いたか思い出す必要もない。正常な視力のままだからだ。頭も以前と同じくさえ渡っている。
人間はいずれ長生き(しかも健康)が当たり前になる――それがエイジング(老化)研究という急成長する分野の考え方だ。科学者らは、動物実験で得られた長寿に関する興味深い知見を応用し、人類の老化プロセスを遅らせたり、予防したり、さらには反転させたりする薬を開発しようと取り組んでいる。
老化を止める有力候補には、二つの身近な薬剤がある。糖尿病治療薬としてよく使われる「メトホルミン」と、臓器移植で拒絶反応を抑えるために用いられてきた「ラパマイシン」だ。いずれも動物実験で長寿効果が確認されており、また両者とも細胞の老化に関連する分子プロセスを標的にしている。
もう一つの方法は、「セノリティクス(老化細胞除去薬)」と呼ばれる新しいタイプの薬剤だ。これは有害な老化細胞(加齢により細胞分裂を停止するが、生き残る細胞)を体内から取り除く働きをする。こうした細胞は全身の組織に蓄積され、他の細胞にダメージを与える因子を分泌する。また体力低下や認知障害、身体的回復の衰えといった老化現象とも関連している。
さらに、細胞が老化する時計の針を戻し、若い細胞の機能を回復する「細胞の初期化(リプログラミング)」という戦略も注目されている。
米国人の男女の平均寿命を「80歳から一気に150歳まで延ばす」魔法の薬が現れる可能性は低い。だが10~20%寿命が延びることは「十分考えられる」。非営利団体(NPO)全米老年問題研究連盟のシニア科学ディレクターで、アラバマ大学バーミンガム校の生物学部長を務めるスティーブン・オースタッド氏はそう話す。
長寿の夢を追いかけ、学術研究機関やバイオテクノロジー企業などが次々とアンチエイジング(抗老化)分野に参入。その活動は、米国立老化研究所の年間30億ドル(約3460億円)の研究予算や一部の著名な富豪、ベンチャーキャピタル投資家に支えられている。
だが「長寿への熱意が高まる中で、実現は近いという誤解が生じている」。ワシントン大学の健康老化・長寿研究所のマット・ケイバーライン所長はそう指摘する。
技術面も、規制上も、経済的にも、社会的にも大きなハードルが立ちはだかっている。例えば、米食品医薬品局(FDA)は、老化を治療すべき疾患だと認めていない。つまり、老化の生物学をターゲットにした薬剤が承認される明確な道筋はない。代わりに研究者は、加齢に関連する特定疾患に対して、その薬剤が健康状態を改善したり、生存期間を延長したりする効果を数値化できるような治験を行う必要がある。また、大勢のおおむね健康な人々が長期に服用する薬であれば、高い安全性基準をクリアしなければならない。
もう一つの課題は、社会経済的地位の低い人々が、抗老化薬を確実に入手できるようにすることだ。こうした人々は富裕層に比べ、早期の疾患や死亡のリスクがはるかに高いからだ。
主要な医学的死因――心血管疾患、脳卒中、がん、アルツハイマー病、糖尿病――や関節炎、骨粗しょう症などは通常、人生後半に発症する。またそれらは一定の生物学的な老化の特徴を伴うことが明らかになっている。細胞内のミトコンドリアの加齢変化や、遺伝子機能、細胞栄養、代謝、損傷修復に関連する老化プロセスなどだ。
こうしたプロセスを遅らせたり、回復させたりする薬があれば、さまざまな加齢性疾患のリスクが一気に低下すると期待される。そうなれば、寿命が延びるだけでなく、持病を抱えることなく生きられる。それを研究者は「健康寿命」と呼ぶ。
たとえ治療によって寿命は延びず、単に老化の開始が遅れるだけだとしても、高齢者の生活の質向上や医療コスト削減という観点から、非常に大きなメリットがあると考えられる。
4つの可能性……
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THE WALL STREET JOURNAL
ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版
非常に興味深い内容でした。健康寿命がどれだけ伸びていくのか注目です。
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